【不動産コラム】持ち家を購入するタイミング

着工低迷と空き家率の上昇

日本の住宅市場は、少子高齢化が進展する中、空き家率の上昇と新設住宅着工の減少という変化に直面している。

2009年度の新設住宅着工戸数は、リーマン・ショック後の経済の急激な収縮に伴い、前年度比5・4%減の20万戸と1964年度以来の低水準となり、下げ幅は第一次オイルショック後の九年度以来の大きさとなった。

新設住宅着工は、侃年度まで叩年間余りは120万戸前後で推移し、その後も100万戸を下回ることはなかった。少子高齢化の進展でいずれ加万戸台に落ち込む事態も想定されてはいたが、そうした状況がリーマン・ショック以降の経済縮小で一気に訪れることとなった。

2000年度までの120万戸前後が、2009年度に100万戸台に落ち込んだのは、回年に発生した耐震強度偽装事件を受け建築基準法が強化されたことにより、建築確認申請が滞ったためであり、回年度以降は回復することが期待されていた。しかし、2008年9月のリーマン・ショックがそうした期待を打ち砕いた。新設住宅着工戸数は、09年9月以降は上向きに転じているが、その水準はなお低いままである。

一方、空き家率は、5年に一度行われる「住宅・土地統計調査」によると、2010年時点で1・1%と、前回調査(09年)を0・9ポイント上回り、過去最高を更新した。

日本の住宅ストック数と世帯数を比較すると、第二次世界大戦直後の住宅不足を経て、刀年には住宅ストック数が世帯数を上回る状況となっていたが、その差は次第に拡大しており、空き家率は一貫して上昇傾向にある。都道府県別の空き家率を見ると、最高は山梨の却・3%、次いで長野山・3%、和歌山口・9%、高知国・6%だった。

逆に低かったのは、沖縄問・3%、神奈川叩・5%、埼玉叩・7%、愛知H・1%だった。山梨、長野については、空き家と見なされる別荘が多いことも空き家率が高い一因となっているが、総じて見れば、高齢者世帯や古い木造住宅が多い県で空き家率が高い傾向がある。これは、地方から都市部への人口流出や、一人暮らしだった老人が施設などに移るなどして、一軒家が空き家になるケースが多いことを示唆している。

住宅市場変化の兆しと新たな課題

このように空き家率の上昇と新設住宅着工の低迷が常態化しつつある日本の住宅市場であるが、その一方で、割安に取得できる中古住宅が見直されるという、これまで見られなかった変化が起こっている。例えば分譲マンションでは、あえて新築を購入せず、中古マンションを購入して自分の好みに合わせて造り替えた上で住むという選択肢が注目されている。

業者の側では、中古のマンションや二戸建てを取得し、新築同様に改装(リノベーシヨン)した上で販売するビジネスも登場している。そうした物件は新築に比べ立地が良く、割安な物件を取得できると人気を呼んでいる。

また、賃貸住宅では、従来であれば使い道がなく取り壊すしかなかったような古い社宅や独身寮、下宿、一軒家を、独立した個室を持ちながら、リビングやキッチンなどを共有する「シェアハウス」と呼ばれるタイプの賃貸物件に改装する動きが広がり、90初代の若者から注目されている。

さらに、地方の空き家については、都会から移住者を呼び込み、必要な改装をした上で、安い賃貸料で住んでもらう試みが活発化している。

こうした動きが広がっていけば、これまで新築志向が強く、新しい家を建てては壊すというスクラップ・アンド・ピルドが繰り返されてきた日本の住宅市場が大きく変わっていく可能性がある。ただ一方では、中古住宅の活用が進んでいけば、今後、新設住宅着工が元の水準に戻ることはますます難しくなるということを意味する。一方、数の上では日本の住宅ストックは充足しているとはいえ、高齢化対応(バリアフリー化など)や高齢者向け住宅の整備はまだ十分とはいえない。

今や高齢者(75歳以上)がいる世帯の全世帯に占める割合は70%(09年、「住宅・土地統計調査」)に達し、こうした面での対応の必要性が高まっている。さらに、環境面で負荷をかけない住宅性能を備えることも最近急速にクローズアップされてきた。

こうした面での住宅の質の向上は、今後避けて通れない課題である。このように、現在の日本の住宅市場は、住宅ストックの本格的な余剰時代に入り、これまでのスクラップ・アンド・ピルドから、優良ストックを活用していく方向に変化しつつあるとともに、ストックの質を時代に合わせてさらに向上させていくことが必要な段階に入っている。

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